校長のあいさつ
校長のあいさつ
ようこそ!福島工業高等専門学校へ
校 長 田 口 重 憲
福島高専の学園祭である「磐陽祭」は、あいにくの雨の中での開催となりましたが、大変多くの方に御来校いただき、誠にありがとうございました。学園祭では、児童・生徒を対象としたモノづくり体験、スライム、人工イクラ、フェイクスィーツ作りなどの化学実験、防災や環境などの研究成果の展示など、各学科の紹介が行われるとともに、学生たちがラジオ放送局の開局、焼きそば・焼き鳥・餃子等の販売、メイドカフェ、留学生によるタピオカ販売など、学園祭を盛り上げる出店を行いました。屋外での物販も雨にもかかわらず長蛇の列を作る状況でした。また、地元企業を中心とした産学連携ブース、福島国際研究教育機構と学生がコラボした「縁日」など、地域と一体となった文化祭であることも磐陽祭の特徴として挙げられます。開催にあたりご協力いただいた皆様へも感謝申し上げます。
また、9月には、学生寮の食堂が新営され、食事だけでなく、寮生たちがさまざまな活動を行う場が新たに設けられ、「ヒイラギ食堂」と命名され、学生が看板を作成しました。
さて、福島高専は、五年一貫の専門教育を施すユニークな高等教育機関として、これまで約9,800名の実践的技術者を社会に輩出してきました。現在も、社会の急速な変化に対応しつつ、創造性のある実践的技術者の育成に向け様々な取り組みを行っています。そして、令和6年4月には、本科卒業生198名の内、91名が大学三年次への編入学や本校の専攻科に進学し、99名が民間企業や地方公共団体等に就職しました。また、専攻科修了生27名全員が大学改革支援・学位授与機構から学士の学位を授与され、内2名が大学院に進学しました。
令和6年度の前半も、学生は、様々な場で活躍しています。高専ロボコンでは東北地区大会で2チームとも第三位、そのうち1チームが全国大会に出場しました。全国高専将棋大会では第3位。また、研究活動や各種コンテストへの参加についても、学生たちは積極的に取り組んでおり、来年の校長あいさつで、その結果が報告できると思います。
福島高専は、令和元年度より「持続可能な社会発展を目指し、グローカルに活躍する次世代技術者を育成する」を新しいスローガンとして、以下に掲げる四つの視点を推進しています。
一つ目は、「持続可能な社会」という視点です。これは、本校の学習教育目標冒頭にもあります「持続可能な社会」を構築するという目標に向かって行動するということです。今、SDGsとして国連が提唱する十七の目標は、一国だけではなく、人類全体が、豊かに、かつ幸せに暮らしていくための方針となっています。日本国内のみならず世界中の人々の共有の価値として位置づけられるこの概念を、本校の学生に学んでもらい、将来正しい道を進んでいける人材育成に取り組んでいます。
二つ目は、「グローバル」という視点です。これから日本を背負う若者は、世界の人たちと情報交換をし、あるいは国際会議などの場でしっかりと自分の意見を伝えることが出来るなど、世界的な視点をもって活躍することが求められてきています。コロナ禍での制限がなくなりつつあり、海外での留学や語学研修、インターンシップなどを体験する機会も戻ってきました。
三つ目は、「ローカル」という視点です。高専は全国で51校(55キャンパス)設置されていますので,その地域に根差した教育機関として発展することが重要だと考えています。今、東日本大震災から13年が経ちましたが、震災復興のニーズ、特に、福島第一原子力発電所の廃炉には数十年かかると言われており、福島復興を担える人材を育てることも本校の重要な課題の一つと考えています。福島高専は、国及び県から全国高専トップクラスの外部資金を獲得し、多くのプロジェクトを手がけながら、福島復興に向けた人材育成にも取り組んでいます。
四つ目は、「次世代技術者」という視点です。さて、これから我々が生きていく社会は、「超スマート社会」であります。これまで人間が手掛けてきた仕事がAI やIoT技術にとってかわられることが予想されます。その中で生き抜くために、次世代でも活躍できる人材を育成すべく取り組んでいます。
福島高専は、60周年を契機に、更なる発展を目指し、様々な新しいことに取り組み始めています。例えば、共創、英語でCo-Creationの場となる「福島高専コモンズ」の整備。正面玄関、そして、それに続く中庭、磐陽会館の2階は、ずいぶんと明るい、集いやすい場所になりました。中庭は季節の花のプランターを配置し公園のような雰囲気を演出し、その結果、天気の良い日の休み時間・放課後には学生たちが楽しげに談話する場所になってきました。「陽だまりカフェ」と命名した磐陽会館2階のスペースは、いわゆるサイエンスカフェのような懇談スペースとしての活用や、ご寄付いただいたキッチンを活用したイベントの場としての利用も始まっています。
福島高専は、地域に開かれた高専を目指しており、上記のような取り組みのほか、地元企業と協力したキャリア教育の充実を図るとともに、アントレプレナーシップ科目の全学科での開講も始めました。本年、本格的に稼働した「磐陽テックガレージ」は、学科、学年を問わず利用することができる施設ですが、アントレプレナーシップ科目と連携し、地域活性化のためのモノづくりに取り組み始めています。今後、一層、学生たちに積極的に活用してもらいたいと考えています。
さらに、昨年4月に設立された「福島国際研究教育機構(F-REI)」との連携など、地域に根差す高専として地域とともに発展を目指すための様々な取組を開始しているところです。これらを通じ、福島復興、ひいては日本経済復興に資する次世代人材育成に貢献していきたいと考えています。
今後も引き続き、地域に根付き、世界を視野に入れた取組ができる福島高専であるために、教職員一同、日々努力を重ねてまいる所存ですので、皆様のご理解・ご協力、ご支援を重ねてお願い申し上げます。